【読了】『ぬくもり荘のまかないさんは』
2025.10.13
主人公は「なかもり荘」という下宿屋の管理人兼まかないさんの青年、なぎと。
幼少期に色々ありすぎて若干精神に不調をきたすこともあるが、一生懸命仕事をする素敵な青年。そしてイケメン。
なかもり荘は新宿区落合にあるのに下宿代1万円。頼めば朝晩のまかない付き。そのまかないはかなりうまいのに、開始当初は下宿人は一人。なおさん、という気難しいおじさん。
なのだが、下宿人募集の紙を貼りだしたら、ややこしい宗教団体の幹部の娘が家出してやってきたり、小さい子供を連れたシングルファーザー(職なし)がやってきたり、わけありギタリストがやってきたりと、にわかに賑やかになる。
なぎとは一生懸命仕事をするし丁寧で繊細。
ただ、気持ちがいっぱいいっぱいになると、電池が切れたように動けなくなり、それが三日続いたりと若干ややこしい。
でも、その純粋さや真摯さは周りを暖かくしていく。
そんな平和ななかもり荘に不穏な事件が起き、この下宿も変な空気になっていく。
でも、一番の気難しいおじさん、なおさんが中心となり、この事件を解決に導いていく。
ヒューマンドラマ。
人は一人では生きられない。支えあって生きている。
本書の途中までは結構なぎとの純粋さや真摯さが周りを暖かくし、少しずつ変えていくさまが伝わってくる。
でも、実は後半になると、その下宿人たちの影響をなぎとも受けていて、少しずつ強くなっているようすが伝わってくる。
日本昔話のエンディングで、「♪いいないいな、人間っていいな~」とあったが、それを読みながら感じちゃうような本。
ストレスなく読めるので移動のおともにぴったりです。